木彫

彫刻刀

1.彫刻刀の銘柄

木彫をはじめて最初に彫刻刀が必要になり、セット物を購入した、立派な箱に16本ほど入り、価格も安かったので飛びついたが、納入されたものは機械加工で形作られた物で、鋼が付いていなかった。直ぐにキャンセルし、ネットで探し、道刃物工業の彫刻刀を数本購入した。この会社は兵庫県三木市別所にあり、切れ味は満足できるものでした。同じ三木市別所には三木章刃物本舗もあり、量産品の彫刻刀のメーカーとして三木は刃物の町のようである。
道刃物工業からは主にハイス鋼の彫刻刀を購入した。これはハイスピード鋼なる鋼(はがね) 材料を使用しており、一度研ぐと長く切れ味が持続し、現在人気があります。
後日知ったのですが、彫刻刀にもブランドがあり、小信、清綱、研綱(ときつな)、光雲、宗意(もとい)などが有名である。私も清綱と宗意の彫刻刀を購入した。これらは青紙2号なる鋼を使用しているが、赤らめた地鉄に鋼を付け叩いて鍛える手間隙のかかる日本古来の方法で造られており、内側に鋼、外側に軟鉄の組み合わせは、硬い鋼を柔らかい軟鉄が包み切れ味が良く研ぎやすく、切れ味は良好でしっくり彫れる感触でハイスピード鋼よりも好みである。

現在はハイスピード鋼をやめ宗意、研綱、清綱を中心に使用しています。他に光雲、小信、菊秀、悦英も所有している。

宗意刃物店は、東京上野にて140年の歴史を誇る刃物の専門店あり、印刀の切れ味は私の好みである。研綱は江戸時代から続く彫刻刀の老舗 棟方志功などの著名の彫刻家が愛用した彫刻刀である。
彫刻刀も機械化による大量生産品も数多く出回っているが、是非、これらの彫刻刀使用してみてほしい。宗意の印刀、研綱の三角刀などお薦めです。

2.種類

木を削る道具には小道具鑿(小道具)と彫刻刀がある、小道具鑿と彫刻刀とは手に持って握り、叩かずに押して削る道具である。写真の上に示すように彫刻刀は刃先から柄までの幅が均等で、比較的短く造られており、浅い彫りに向いている。小道具は写真下に示すように刃先に対して柄に入る部分が細く造られていて全体的に長く、立体彫りでの込み入った部分や分厚い板の深い部分まで刃先が届く利点がある。

3.形状

a)平刀、合透(あいすき)
 直角の形の刃がついているもの。広い面を薄く削り出したり、角を丸くしたりする。

b) 印刀、小刀(こがたな)、切り出し刀
斜めになった刃がついているもの。切込みを入れたり、広い面を薄く削り出したり、もっとも広く用いられる。刃の向きによって、左右の2種類がある。

c)丸刀(まるとう)
 断面がU字型で、凹面を削るために使用される。アールの深さによって、極浅丸、浅丸、並丸、深 丸などの種類がある。また鋼がアールの外側に付いた「外丸」もある。

d)三角刀
断面がV字型になっているもの。素材に深い溝を彫るために使用される。細く鋭い線を描くこと ができる。角度は普通60°だが、30°、45°、90°などの角度もある。
優しい線を描くために底面が丸くなった三角丸型もある。

e)曲がり各種

上記の彫刻刀の刃先が少し反りあがった形になっているもの。柄がつかえるような凹面の加工などに用いられる。曲平刀、曲丸刀、曲印刀、曲三角刀などがある。
f)剣先
剣の先のように先端が尖り、両刃になっているもの。

木彫用の木

木彫りに適した強度と、彫刻に耐える目の詰まった粘りのある性質が必要になります。素材とては、黄楊、イチイ、黒檀、などなど沢山あります。
私の最初の作品は以前庭に有った桜で作りました。桜は目は緻密で、細かい細工ができます。硬いので、中~上級者向きだそうです。結構苦労しました。
仏像の彫刻には樟を使用しています。樟は結構硬く、木目が強く表れており、強い芳香があり、彫ると部屋中良い香りがします。

彫易い木は檜です、檜といっても産地によって まるで材質が違います。やはり木曽檜は非常に目が細かく柔ら かくて彫りやすい材料ですが小さい作品には、欠けやすいので難しいところ もある。面のように作りが細かくなくて軽さを必要とするものには最適だそうです。仏像を彫るのに最も一般的な木材だそうで、私は最初小型の仏像を作りました。本当に柔らくて彫りやすい材料でした。年月が経つと、茶がかった良い色になっくるそうで穏やか な芳香があります。
鎌倉彫の材料としては桂が一般的なようです。桂は普通の硬さで、目は細かく、非常に彫りやすい材料で他の木に比べて入手 しやすく、価格も安く、小さな作品から大きな作品まで作れるそうです。

シナノキは木肌は緻密で表面仕上がりは良好。木質は軽軟で均質です、最近入手しましたが、本当に彫り易い材料です。

作品

色々作っています、仏像、人物、動物、お盆など種々作っていますがまだまだ初心者です。作品を人に貰ってもらうためには仏像だけでは問題で、来年の干支の「酉」を彫ってみました。まだまだ人に差し上げるレベルではないようです。